経営環境の分析に役立つかも!?政府系のデータサイトを見てみよう(3/3)
2018.08.03
みなさんこんにちは。

宮城県よろず支援拠点コーディネーターの鯨井文太郎です。経営改善や事業再生に関する支援を中心に担当しております。


前々回から3回に渡り、「経営環境の分析に役立つかも!? 政府系のデータサイトを見てみよう」と題して、下記の通り3つのサイトを紹介していきます。

 1回目:RESAS(地域経済分析システム)
 2回目:J-STAT(地理情報システム)
 3回目:ローカルベンチマーク(企業の経営状態を把握する為のツール)

RESAS(1回目)とJ-STAT(2回目)は、地域の人口動態や経済環境の簡易な分析に活用できます。つまり企業の外部環境分析に活用できるシステムとして紹介いたしました。


 3回目となる今回はローカルベンチマークについて紹介いたします。
 
ローカルベンチマークは、主に企業の内部環境を定量面・定性面から分析するのに役立つツールです。その結果、自社の優位性はどこにあるのか、お客様に対して自社がどのような価値を提供できるか、といったことが検討できるようになります。


 まずは、検索サイトで「ローカルベンチマーク」と検索してみると、次の様なサイトにたどり着きます。



経済産業省が運営しているローカルベンチマークの画面となります。このページ内の
「【最新】ローカルベンチマークツール(2018年5月ツール改訂版・最新基準値使用)」というエクセルファイルを活用します。
以下、ローカルベンチマークで出来る主な分析内容について見ていきましょう。主に3つあります。



(1)財務分析シート



 上記画面は、財務分析結果(例)を示したシートです。各財務指標を点数化し、同業他社との比較が出来るツールとして活用できます・・・と、ここまでは、通常の財務分析ツールと変わりありません。

 ローカルベンチマークはこれだけではありません。他にも以下2つのシートを活用して自社の分析を行います。



(2)非財務ヒアリングシート(商流・業務フロー)
自社の業務フローや商流を分析することで、顧客価値をどのように提供しているかが分かります。



上記表は、非財務ヒアリングシート(商流・業務フロー)の記入例です。自社の商流や業務フローを分析する機会は意外とありません。これらを分析することで、自社が顧客価値を提供するまでの流れや、その背景を認識することが出来るようになります。



(3)非財務ヒアリングシート(4つの視点)
自社の現状と将来目標を理解し、その実現に向けた課題と対応策が明らかになります。



 上記表は非財務ヒアリングシート(4つの視点)の記入例です。
経営者、関係者、事業、内部管理体制の4つの視点から、自社の特長を分析するとともに現状と将来目標を総括し、現状と将来目標とのギャップを基に課題と対応策を抽出するという流れです。「頭の中に自社の全てが入っている」という経営者の方も多いですが、実際に書き出してみることで、自社に関する新たな発見があったりします。


 以上のように、

・財務分析
・顧客価値の提供
・自社と現状と将来分析を理解した上での課題・対応策の明確化

 といった観点から、複合的に自社の分析が実施できるという点が、ローカルベンチマークの特徴といえます。

更に、筆者はもう一つの観点から、ローカルベンチマークは自社の分析の為に有意義なツールであると考えています。それは、

自社の分析結果や自社の方向性を、金融機関と共有する為のツールになる

 という点です。


いくら、効果的な分析ができても、これを経営者のみが理解できているという状況では意味がありません。このツールは経済産業省が策定したということもあり、金融機関や支援機関などに広く周知されています。

例えば、経済産業省「企業の多様な資金調達手法に関する実態調査報告書」で金融機関に対して実施された調査によると、以下のような結果がでています。


【グラフ1】金融機関におけるローカルベンチマークの認知度について


2016年で、ローカルベンチマークについて、「内容をよく知っている」と「聞いたことがある」の合計(認知度)は 94.1%となり、ほぼ全ての金融機関に認知されている




【グラフ2】金融機関におけるローカルベンチマークの活用状況について


2016年でローカルベンチマークを「活用している」金融機関は(36.5%)、「活用を検討している」金融機関は32.5%と合わせて69%に達している。




【グラフ3】ローカルベンチマークの活用後の効果について


ローカルベンチマークの活用後の効果(複数回答)として、「顧客企業の事業計画作成に繋がった(28.3%)」、「与信額が増加した(20.1%)」、「顧客企業における新規事業の開拓や事業構造の見直しに繋がった(15.1%)と続いている。



 金融機関はローカルベンチマークを認知・活用しており、その効果についても十分認められていると言える結果となっています。

 また、金融機関だけでなく、従業員や後継者と、理念や課題、方向性等を共有する為のツールとしても活用できますので、作成にチャレンジすることをお勧めいたします。

 但し、ローカルベンチマークの作成に際しては、ちょっとだけコツが要ります。単純にシートを埋めるという作業だけでは、中身のあるシートを作成することは困難です。

 そこで、当拠点では、ローカルベンチマーク等の活用による自社の分析や経営計画作成に関する支援も実施していますので、是非ご活用ください。ご相談お待ちしております!

 なお、具体的な活用方法についても紹介させて頂きたいところでしたが、冒頭の経済産業省のHPに、具体的な事例が「モデル事業報告書」として掲載されています。ご参照ください。

 以上、「経営環境の分析に役立つかも!? 政府系のデータサイトを見てみよう」と題して3回に渡り、経営コラムに寄稿させて頂きました。

お付き合い頂きましてありがとうございました。

2018.08.03 08:44 | 固定リンク | 経営ミニコラム

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