シリーズ:なぜ組織が成長するためには適切な「余剰=あそび」が必要なのか?(3/3)
2018.06.24




皆様こんにちは。



宮城県よろず支援拠点コーディネーターの佐藤創です。

今回は「なぜ組織が成長するためには適切な「余剰=あそび」が必要なのか?」というテーマの最終話(3回目)です。



これまで民俗学や生物学から、組織論を俯瞰してきました。

第1回記事
第2回記事



「組織は生き物である」ということは、皆様も感じているところだと思いますが、生き物であるからこそ、実際の民族や生物の知恵または歴史をたどることでヒントを得ることができました。



今回は経営学、特にビジネスモデルの検討に立ち戻ります。



ただし、ややこしい話はしません。収益を上げるためのビジネスモデルをたった2つだけに分類します。

皆様の事業が、このどちらの収益モデルに近いのか、そしてこれから安定的に収益を上げるためにどんな戦略を講じればよいのかを、わかりやすく解説したいと思います。

さて今回も、頭の体操と思ってお付き合いいただけますと幸いです。





■たった2つの収益モデル

みなさまの会社で行っている事業は、ほぼこの2つのどちらかの収益モデルに当てはまると思います。



1つが、狩猟採集民族型の事業である「フロー型事業」です。

もう1つが、農耕民族型の事業である「ストック型事業」です。



狩猟採集型と農耕型の特徴は、第一回のコラムで解説した通りなのですでにご存じかと思います。収益を上げるための方法論が大きく異なっているので、以下に整理した図を掲載します。





フロー型、つまり狩猟採集型事業の特徴は、商談当たりは大きな売り上げを獲得できるのですが、お客様から継続的な売り上げを獲得しにくいので、次の別のお客様の獲得のために次々と営業をし続ける必要がある点です。

顧客が蓄積しにくいので、顧客が流れ続ける(=フロー)という意味です。



ストック型、つまり農耕型事業の特徴は、1商談あたりの売り上げは少ないのですが、お客様から継続的なリピートオーダや月額売り上げを頂けるので、一度獲得したお客様が蓄積する(=ストック)という点です。



この2つの事業は、営業スタイルも異なりますし、商品の特徴も異なります。となれば、組織の形状も異なってきます。以下に主な違いをまとめているので参照ください。







■ストック型事業を構築するメリットは?

さて本論における私の結論は、

ストック型事業を構築することで、経営が安定し、経営の高度化が達成できる

ということです。

この結論は、第1話の民俗学での考察結果より自明であると考えています。単なる持論ではなく、歴史が検証した結果を踏まえた結論と考えています。



フロー型事業だけでは、営業を止めたとたんに売り上げが途絶えるようなリスクをはらんでいます。

従業員が急に退職したり、人手不足で営業が展開できない、などといった経営リスクに対し、弱さを持っている事業といえます。



フロー型事業が好調なうちに、ぜひ事業のストック化を考えてみてほしいと思っています。




ストック型事業のメリットは以下です。


  • 毎月定期的な売り上げが立つので、キャッシュフローが安定する。

  • 売り上げ予測・計画が立てやすくなり、将来の事業計画を確度高く策定できるようになる。

  • 売り上げを直接生み出すライン部門以外の高度管理部門を養えるようになる(=経営の高度化)。



結果的にキャッシュフローが安定することで経営の安全性が高まり、事業基盤がしっかりとします。



ストック型事業とは具体的にどんなものがあるのか、その点について以下のスライドで確認してみてください。







ところで、



「フロー型事業をストック型事業にする方法なんてあるのか?」



と感じられるかもしれません。





ただ、それは可能です。

もちろん、一足飛びにストック化することはできませんが、徐々にストック型の事業展開をしかけることが可能なのです。

どの業種でも、考え方をちょっと変えれば、ストック事業化へのヒントは見つかります。






■事業のストック化へのヒント

ストック型事業の最も大きな特徴は、

  同一顧客からの継続的かつ安定的な購買がある

という点です。



例えば家や車など、同一顧客から継続的に同じ商品の購入がほとんどない事業を考えます。

確かに家や車は何度も何度も購入しないですが、その家や車を使う利用シーンを考えてみてください。何が必要になるでしょうか?



そうです、メンテナンスや万一に備えた保険です。

これらのニーズは必ず発生します。



なので、家の引き渡し後も定期的なメンテナンスを行うサービスを有料で提供したり、自動車保険の契約を勧めることで、継続的な売り上げ確保が可能になります。

アフターマーケット(保守・点検・保険など)で事業をストック化するのがオーソドックスな方法の1つです。




もう1つの、ストック化するためのオーソドックスな方法は、顧客の状態をだんだんと改善するため、継続的に商品・サービスを提供するという方法です。



簡単に言うと、健康食品やスポーツジムです。

健康食品は、顧客の健康を継続的に改善するために商品を毎月購入していただくというビジネスモデルです。継続して利用することが前提なので、ストック型事業に該当します。



スポーツジムも、顧客の体形や体重、健康などを将来的に改善するため、継続利用をさせるビジネスモデルです。



これを当てはめられないか検討すると結構面白いサービスが出来上がります。




例えば、インテリア用品やインテリア雑貨などを販売する小売店で、このモデルを取り入れられないか考えてみましょう。

考えやすくするために、具体的なブランドでいうと、例えば「Francfranc」のようなお店を想定してみてください。

こういった小売店で顧客の状態を継続的に改善するビジネスモデルを成り立たせるには、どのように組み立てればいいでしょうか?




アイディアの1つとしては、顧客のお部屋やリビングに合ったインテリアや雑貨を、毎月毎月ちょっとずつ購入していただくことで、半年後や1年後にはお部屋がお客様の望むテイストに生まれ変わる、といったサービス提供が考えられます。



もちろんお客さんにお金があれば一度にインテリアを買い揃えられますが、それは負担が大きくなります。

なので、例えば毎月定額の5,000円コース、10,000円コースなどを決めて、その金額の範囲内で必要なインテリアや雑貨をちょっとずつ買い足していくというサービスです。



で、そこへコンサルティング・サービスも付加してみましょう。

自社商品に詳しい店員さんが、お客様が撮ってきた写真や動画を見ながら、どこをまずは改善していくと雰囲気が良くなるか、といったアドバイスします。



雑貨はちょっと変えるだけでも部屋の雰囲気をがらっと変えられる力を持っています。

それを目利きの店員がコンサルティングするのです。



そうすると、最初の月はまず雑貨で部屋全体の雰囲気を変えられる提案をし、3か月目には椅子やテーブルといったちょっと高額の提案をするなど、顧客の部屋の状態に応じたアイテムを勧めることも可能になります。



お客さんも、日々変わっていく部屋にワクワクしますし、変わっていく部屋を友人にも見せていっしょに楽しむこともできます。

友人たちも、部屋が変わっていく状態を見ていけば、自分もそうしたい、と思うようになりますので、口コミ効果やSNS拡散がしやすくサービスが一気に広まる可能性もあります。

といったように、半年後や1年後を目指したこのような継続改善サービスを提供することが考えられます。

お客様も1つの部屋が終わったら次の部屋、、、と、さらなる継続購買に結び付く可能性も十分考えられます。




以上の様に、フロー型事業をストック化するためのヒントはたくさんあります。

少しでも継続的な売上確保が可能になるストック型事業を手掛け、経営の安定化を目指してみてください。



よろず支援拠点にお越しいただければ、こうした具体的なアイディアを一緒に検討することができますので、ぜひお気軽にお声がけください!



<筆者紹介>
佐藤 創(さとう そう)。中小企業診断士、および高度情報処理技術者、キャリアコンサルタント。

「変化を求め明日を企てる事業者様の良き参謀役」として、ビジョン実現に向け経営者と伴走しながら共に汗をかく、ハンズオンでの支援を身上とする。独自のビジネスモデル分析による経営改善手法が好評。

得意な支援ジャンルは、新規事業開発・事業戦略による売上拡大、IT導入・活用による生産性向上および販路開拓、金融支援(リスケ等)を伴う経営改善・事業再生。



<連載記事>シリーズ:なぜ組織が成長するためには適切な「余剰=あそび」が必要なのか?

第1回記事
第2回記事
第3回記事(本記事)
2018.06.24 09:29 | 固定リンク | 経営ミニコラム

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