平成30年間を振り返る(3/3)
2019.02.22

ひとり当りGDPで振り返る、平成の30年(続き)

皆さんこんにちは。宮城県よろず支援拠点コーディネーターの鯨井文太郎です。
前回は、平成の30年間におけるひとり当りGDPの推移を、名目ベースと実質ベースで確認致しました。
今回はその国の裕福度を図る指標の一つとされる、ひとり当りGDPについて、他国との比較を行ってみたいと思います。

他国と比較する為には、各国の物価水準の差や為替レートを考慮したうえで、USドルの様な基軸通貨に置き換えて換算する、ひとり当たり購買力平価GDPという指標を用います。
そして、日本のひとり当り購買力平価GDPの推移は以下の通りとなります。




出典:https://ecodb.net/ より筆者作成 
なお、当サイトのデータは IMF - World Economic Outlook Databases より引用


 平成元年のひとり当たり購買力平価GDPは18,313ドル、平成30年のひとり当り購買力GDPは44,550ドルです。前回紹介したひとり当り実質GDPと同様、こちらの指標も平成元年から順調に増加していることが分かります。

 この、日本のひとり当り購買力平価GDPは世界の中ではどれ位の水準なのでしょうか。平成元年から平成28年までの順位変動を示したグラフは以下の通りです。




出典:https://ecodb.net/ より筆者作成 
なお、当サイトのデータは IMF - World Economic Outlook Databases より引用


 上記の通り、平成元年は23位、その後順位を上げ、平成4年、平成5年、平成8年は過去最高位の17位となっています。その後、徐々に減少し平成21年には33位と過去最低、平成28年も30位と、近年は30位前後の水準で推移しています。

 ひとり当り購買力平価GDPは順調に上昇しているように見えましたが、他国と比較してみると順位は落としています。これは、日本の水準以上に、他国の増加率が上回っていることを示しています。
以下に、平成28年の上位5か国及びG20諸国(実際はEUを除く19か国)の、ひとり当り購買力平価GDPランキングを示します。



出典:https://ecodb.net/ より筆者作成 
なお、当サイトのデータは IMF - World Economic Outlook Databases より引用


上位5か国(や地域)は、資源が豊富であったり、人口規模の小さな国といった特徴があります。トップ3は100,000ドルを超えているのですね!また、マカオ、シンガポール、ブルネイはいずれも人口規模は小さいもののアジアの国々です。

G20の中で最も高い順位に位置するのはアメリカで13位、57,815ドルです。日本は30位で41,353ドルです。G7諸国の中ではイタリアに次いで低い順位となっています。

なお、日本より上位にランクインされていたアジアの国や地域は、前述の3か国(地域)以外にも、台湾が21位(48,181ドル)でランクインされていました。

前回からの内容をまとめると、以下の通りとなります。
・日本のひとり当り名目GDPは、平成9年以降伸び悩んでいる
・しかし、長期にわたるデフレの影響もあり、物価変動を考慮したひとり当り実質GDPは増加基調にある
・同じく、ひとり当り購買力平価GDPも増加基調にある
・しかし、ひとり当り購買力平価GDPを、他国と比較すると、相対的な値(順位)は減少している。

  つまり、ひとり当り購買力平価GDPから、裕福度を図った場合、日本以上に他国の水準は増加している、ということになります。

 前々回のコラムでは、ヒット商品を振り返りました。そこで我々の暮らしがこの30年間で、とても便利になっていることを、なんとなく確認出来たと思います。ひとり当りGDPも、実質ベースや購買力平価ベースでは増加していることを確認しました。つまり、我々は豊かになっていると言えます。
しかし、他国と比較すると、順位を落としている状況です。

何をもって豊かさと捉えるか。これは人それぞれによって考え方は異なりますが、この30年間、我々の暮らしはどのように変化してきたのか、より豊かになったのかと言えるのか、ということを考察する際に、今回、前回、前々回のデータや指標は参考になったり、考えさせられたりすることが多いのではないでしょうか。

 以上で3回に渡って、私が担当したコラムは終了となります。 当コラムを最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。


2019.02.22 14:43 | 固定リンク | 経営ミニコラム
平成30年間を振り返る(2/3)
2019.02.21

「ひとり当りGDPで振り返る、平成の30年」

皆さんこんにちは。宮城県よろず支援拠点コーディネーターの鯨井文太郎です。

前回は、ヒット商品から平成の30年間をざっと振り返ってみましたが、今回は国民ひとり当りの裕福度を図るとも言われている「ひとり当りGDP」という指標を使って、平成の30年間を振り返りたいと思います。

 本来であれば、GDPや、ひとり当りGDPについて、もっと詳しく説明すべきかも知れませんが、ここでは、国民ひとり当りの裕福度を図る指標として、「ひとり当りGDP」という指標を捉えて頂ければ結構です。

 まずは、30年間の一人当りGDPの推移を見てみましょう



出典:https://ecodb.net/ より筆者作成 
なお、当サイトのデータは IMF - World Economic Outlook Databases より引用


 上記グラフを見ると、平成元年のひとり当りGDPは3,426千円、以後バブル崩壊と言われる経済状況の中でも順調に数値を伸ばし、平成9年には4,239千円にまで達します。その後は横ばいか微減で推移しますが、リーマンショック後の平成21年には3,838千円まで下落します。以後は上昇基調であり、平成30年には4,406千円にまで上昇しました。
 現在は上昇基調にあると言えますが、平成9年以降で考えると、ひとり当りGDPに大幅な伸びは無いと言える状況です。

 しかし、上記指標はひとり当たり“名目”GDPと言われる指標です。ひとり当り名目GDPでは物価の変動を考慮していません。日本では平成10年頃からデフレ基調にあると認識されています。例えば、給料が横ばいでも、物価が減少していれば、事実上、ひとり当りGDPは増加しているのでは、という解釈もできます。
 そこで物価の変動を勘案する指標として「ひとりあたり“実質”GDP」という指標があります。



出典:https://ecodb.net/ より筆者作成 
なお、当サイトのデータは IMF - World Economic Outlook Databases より引用

 上記のひとり当り“実質”GDPのグラフと、前述のひとり当り“名目”GDPのグラフを比較すると、いずれもリーマンショック後の平成21年に落ち込んでいる部分では共通していますが、前者のひとり当り“実質”GDPのグラフの方が持続的に増加傾向にあることが分かります。

 つまり、平成の30年間で給料や報酬など、ひとり当りの所得は小幅な上昇や、減少した時期もあったものの、物価水準を考慮した実質ベースで考えると、特殊な時期を除いて、基本的には上昇基調にあったということが分かります。

 では、この実質GDPを他国と比較するとどうなるでしょうか。これは次回のコラムで考察してみたいと思います。

 当コラムを最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

2019.02.21 13:35 | 固定リンク | 経営ミニコラム
平成30年間を振り返る(1/3)
2019.02.16


ヒット商品で振り返る、平成の30年
皆さんこんにちは。宮城県よろず支援拠点コーディネーターの鯨井文太郎です。

「年も明けたなぁ、今年も良い年になると良いなぁ。」と考えているうちに、あっと言うまに2月も中旬、月日の流れの速さを実感します。そして、平成の時代もあと僅かです。各種雑誌等で平成を振り返る企画等が実施されていますが、ここでは、「SMBCヒット商品番付」を参考に、平成30年間のヒット商品を確認しつつ、平成の30年間を振り返ってみたいと思います。

 なお、「SMBCヒット商品番付」は番付形式でランキングされていますが、本稿では過去30年のうち、「横綱」と「大関」は全て記載、残りのうち著者が気になったヒット商品は「その他」に記載しています。


【平成元年(1989年)~平成10年(1998年)】 

【出典:「https://www.smbc-consulting.co.jp/company/mcs/BizWatch/Hit/」を参考に筆者作成】

 平成元年から平成10年までの10年間の番付は上記の通りです。平成元年の番付は「プリペイドカード」「ブック型パソコン」といった現在にも繋がる系譜の商品がある一方で、「ゲームボーイ」や「フラワーロック」、「コードレス電話」などレトロ感満載なヒット商品もあり非常に多彩な番付となっています。時代を感じますね。
携帯電話が平成元年(前頭3)、平成6年(大関)、平成7年(大関)、平成8年(横綱)と4回も番付に記載されています。そして、平成7年の「Windows95」の発表を皮切りに、以後、平成の間はIT関連から多くのヒット商品が誕生することとなります。
また、バブル崩壊のあおりで、平成4年~平成6年にかけて、ディスカウント型の商品や格安商品が大関にランクインされている点も特徴的ですね。

【平成11年(1999年)~平成20年(2008年)】

【出典:「https://www.smbc-consulting.co.jp/company/mcs/BizWatch/Hit/」を参考に筆者作成】


 平成11年から平成20年までの10年間の番付は上記の通りです。この10年間の初期は、(平成10年を含めると)平成12年まで3期連続で横綱不在と、当時の消費低迷を印象付ける番付となっています。その後の推移を見ても、横綱・大関陣の陣容は映画や韓流や映画関連、ニンテンドーの健闘が目に付くぐらいで、ヒット商品の観点から見ると、全体的に低調な10年間であったと言えます。
 平成16年のナナメドラム式洗濯乾燥機以降、いわゆる国産メーカーによる白物家電で目立ったヒット製品は無い様です。これが国産メーカーによる最後の白物ヒット家電となるのかも知れません。


【平成21年(2009年)~平成30年(2018年)】

【出典:「https://www.smbc-consulting.co.jp/company/mcs/BizWatch/Hit/」を参考に筆者作成】

 平成21年から平成30年の10年間の番付は上記の通りです。平成24年に「スマートフォン」が横綱に「昇進」してから、平成24年の「Facebook Twitter」(大関)、平成28年の「ポケモンGo」(横綱)、平成29年の「インスタ映え」(横綱)、同「ツイッター政治」といった、スマートフォンに関連する項目が横綱・大関への「昇進」を果たしています。
 一方で、この10年間の後半を見てみると、平成28年「AI加速」(前頭2)、平成29年「AIスピーカー」(関脇)とAI関連項目が上位進出を伺っている気配です。次の年号の時代にはAI関連商品が番付を席捲することになるのでしょう。
 また、平成21年の「官製特需」(横綱)、平成23年の「スーパークールビズ」(関脇)、平成25年の「アベノミクス」など官主導による項目が複数記載されていることも、この10年間の特徴ではないでしょうか。

 以上、簡単に平成のヒット商品を振り返ってみました。この30年間のヒット商品を振り返るだけでも、この30年間でどれだけ便利になってきたのかが分かります。

次回は、これらのヒット商品が生まれた、平成の30年間で、私たち日本国民の収入の状況はどのように変化してきたのか確認してみたいと思います。

 以上、当コラムを読んでいただき、ありがとうございました。
2019.02.16 10:05 | 固定リンク | 経営ミニコラム
運転資金について知っておきたいこと(3/3)
2019.02.05


おはようございます。

宮城県よろず支援拠点コーディネーターの細野です。

「運転資金について知っておきたいこと」と題して、運転資金について最低限知っておきたいことを3回に分けてご紹介しております。

第1回目は、運転資金の基本と業種別運転資金。
第2回目は、事業に必要となる資金の計算方法。
第3回目(今回)は、事業拡大と増加運転資金。
・・・といった流れとなります。

前回は運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法をご紹介しました。

最終回となる今回は売上急成長で絶好調の時にこそ注意が必要な増加運転資金と、融資を受けながら事業拡大を行っていくことについて書いていきます。

特に、今後、事業を拡大していきたいとお考えの方は、今回の増加運転資金についてはしっかりと理解しておいていただきたいと思います。

事業が拡大するということは、売上がどんどん増えているということですね。
ビジネスが順調ということであり、右肩上がりの売上の数字を見ていると、つい気が大きくなってしまいがちです。


しかし、通常、売上が増えると運転資金も増加します。
売上アップにより増える運転資金を増加運転資金と呼ぶのですが、この増加運転資金のことを考えずにむやみに売上アップに走ると資金繰りがショートします。

例えば、以前にも例に出した以下のような卸売業の会社があるとします。

月商:100万円
売上原価:70万円
商品在庫:50万円(在庫期間0.5か月)
売掛金:100万円(回収期間1か月)
買掛金:70万円(支払期間1か月)

この会社の運転資金は以下の通りです。
100万円(売上債権)+ 50万円(棚卸資産)- 70万円(買掛金) = 80万円

この会社が仮に売上が急に倍になったとしたら、運転資金は以下のようになります。
(売上金額以外の条件は一定とします)

200万円(売上債権)+ 100万円(棚卸資産)- 140万円(買掛金) = 160万円


この会社の場合、売上が倍になることで得られる粗利益は30万円アップの60万円です。
しかし、運転資金は80万円アップの160万円になります。
これは何を意味するかというと、利益のアップ分だけでは、運転資金を賄いきれないということです。
現預金に余力があればよいのですが、ギリギリで回しているとあっという間に資金ショートです。
売上が倍になったのにお金が足りないのです。
ですので、運転資金が必要な業種の方は特に、売上の急拡大にはご注意ください。

そうはいっても、せっかくビジネスが好調なのにブレーキをかけるのかと思った方もいらっしゃるでしょう。
実際問題、増加運転資金を利益だけで賄おうとすると、会社はなかなか成長できません。

そこで必要になってくるのが金融機関からの融資です。

人によっては、借金への極度な恐れから、なるべく無借金で経営しようとするのですが、ご自身のビジネスにおいて運転資金が必要な構造になっているのであれば、早いうちから金融機関とのお付き合いをしておくことをお勧めします。

通常、増加運転資金というのは、売上増加に伴う前向きな資金需要なので、金融機関からの融資は受けやすい部類に入ります。

会社が成長して、売上がどんどん伸びていけば、それに伴って、必要運転資金を賄うための融資額も増えていきますが、そこはあまり気にする必要はありません。
業種にもよりますが、だいたい月商の3か月分程度までであれば、適正額の範囲内です。


ただ、注意が必要なこととしては、いったん運転資金を融資に頼るようになった以上、金融機関とは良好な関係を継続しておく必要があるということです。

万が一、融資が回収される方向になってしまったら、あっという間に資金ショートです。


良好な関係を継続するといっても、別に何か贈り物をしろとかではなく、節目ごと(例えば決算書ができた後など)に業況について報告をする、何か資料の提出を求められたら遅滞なく対応するなどといった当たり前なことです。

仮に何かしらの理由で赤字を出してしまったとしても、きちんとした説明があれば、いきなり態度が冷たくなるということはほとんどないでしょう。

ただ、全く取引がないにも関わらず、決算の数字が悪い(二期連続赤字や債務超過)の状態で融資申し込みを行っても、融資は受けにくい可能性が高いです。

ですので、状態がいいうちに取引を開始し、取引実績を積み重ねて相手からの信頼を得ていくことが望ましいでしょう。
(ちなみに一番お金を借りやすいのは創業融資という説もあります)


健全な会社の成長のために、金融機関とは上手に付き合っていきましょう。


以上、3回に渡って”運転資金について知っておきたいこと”をご紹介してきました。
運転資金は会社経営する上では欠かせないものです。
数値計算が必要になるのでなんとなく苦手意識を持っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、概念としてはさほど難しいことではないことがご理解いただけたのではないでしょうか。

今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。

2019.02.05 18:36 | 固定リンク | 経営ミニコラム
運転資金について知っておきたいこと(2/3)
2019.01.29

おはようございます。

宮城県よろず支援拠点コーディネーターの細野です。

「運転資金について知っておきたいこと」と題して、運転資金について最低限知っておきたいことを3回に分けてご紹介しております。

第1回目は、運転資金の基本と業種別運転資金。
第2回目(今回)は、事業に必要となる資金の計算方法。
第3回目は、事業拡大と増加運転資金。
・・・といった流れとなります。

前回は運転資金の基本的な考え方や計算方法、業種別の運転資金における特徴などについてご紹介しました。

今回は運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法について書いてみたいと思います。

自分の事業を回すのにいくら必要なのかは、経営者であれば把握しておきたいところですし、銀行融資申し込みの際にも、申し込み金額が必要な理由をスマートに説明できるようになります。

会社を運営していくうえでは、これまでご紹介してきた運転資金の他に、毎月必要となる固定費があります。
例えば、人件費(社長の報酬も含む)、事務所の家賃、光熱費、通信費、交通費などの販管費、それから借入をしている場合の金融機関に支払う利息も含まれます。

ここで考える必要があるのは、自分の会社では、固定費の何か月分のキャッシュを用意しておく必要があるのかということです。
これを「必要固定費」とするならば、実質的に事業に必要となる資金は、運転資金+必要固定費ということになります。

何か月分の固定費を用意すればよいかということですが、これは入金タイミングと出金タイミングの差の分になります。

計算式としては、
売上債権の回収期間+棚卸資産の回転期間‐仕入債務の支払期間
となります。

例えば、前回の例のように、売上債権の回収期間が1ヶ月、商品在庫期間(回転期間)が0.5ヵ月、仕入債務の支払期間が1ヶ月だった場合、
1 + 0.5 – 1で0.5となり、計算上、固定費は0.5ヵ月分必要ということになります。

要は、入金タイミングと出金タイミングの差の分だけ、固定費も用意しておく必要があるということです。

この入出金タイミングの差は運転資金に比例するので、運転資金が大きくなる業種はこの「必要固定費」も大きくなりますし、逆にこの差がマイナスになる、つまり出金よりも入金が先に来るのであれば、「必要固定費」も小さくなります。

また、これはあくまで計算上の数字で、実際は日ごとの入出金タイミングによっては不足が生じる可能性があります。
際どい資金繰りの場合は、資金繰り表を作るなどして、より注意して管理してください。

次回は売上急成長で絶好調の時にこそ注意が必要な増加運転資金と、融資を受けながら事業拡大を行っていくことについて書いていきたいと思います。
2019.01.29 09:51 | 固定リンク | 経営ミニコラム
運転資金について知っておきたいこと(1/3)
2019.01.24



おはようございます。

宮城県よろず支援拠点コーディネーターの細野です。
今回から3回に渡って、私の方で経営ミニコラムを担当いたします。

今回のテーマは「運転資金について知っておきたいこと」と題して、運転資金について最低限知っておきたいことを3回に分けてご紹介していきます。

第1回目(今回)は、運転資金の基本と業種別運転資金。
第2回目は、事業に必要となる資金の計算方法。
第3回目は、事業拡大と増加運転資金。
・・・といった流れとなります。

それでは本題に入ります。
会社を経営している方であれば、「運転資金」という単語を聞いたことはあるかと思います。
ただ、それが具体的に何を指していて、どうやって計算するのかということまで理解している方はそんなに多くはいない気がします。

そもそも、運転資金とは何かということについてですが、ざっくりいうと「商売を回す上で必要となる資金」です。

運転資金は以下のように計算します。

運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務

売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等

例えば、以下のような卸売業の会社があるとします。
月商:100万円
売上原価:70万円
商品在庫:50万円(在庫期間0.5か月)
売掛金:100万円(回収期間1か月)
買掛金:70万円(支払期間1か月)

この会社の運転資金は以下の通りです。
100万円(売上債権)+ 50万円(棚卸資産)- 70万円(買掛金) = 80万円

この会社の運転資金は80万円ということですが、これが何を意味するかというと、この会社の商売を回す(継続していく)ためには、少なくとも80万円のキャッシュが必要ということです。


そもそも何故、運転資金が必要になるかというと、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うからです。
このタイミングの差を埋めるために必要な資金が運転資金です。

売上と入金が同じ、つまり現金商売であれば、売上債権は0のはずです。
また、仕入れた商品が即販売できるのであれば、在庫、つまり棚卸資産も0になります。
そういう商売の形態であれば、運転資金は必要ありません。

しかし、多くの商取引では、掛売がありますし、仕入れた商品がすぐに売れるわけではないことが多いでしょう。
ですので、多くのビジネスでは運転資金を用意する必要があるのです。


なお、必要な運転資金は業種やビジネスの形態によって変わってきます。
多額な運転資金が必要になる業種・業態と、そうでもない業種・業態があるのです。
今回は身近な業種でいくつか例を出してみましょう。


1.飲食業
飲食業は運転資金がほとんど無い業種の代表例です。
何故なら、売掛債権、棚卸資産がほとんど無いからです。

売上債権はクレジットカード利用の場合くらいで、カード取扱がないお店は売掛金はほぼゼロではないでしょうか。(ツケ払いがあるのなら別ですが)

棚卸資産である食材もほとんど当日に使い切ってしまうのではないでしょうか。
ただ、保存がきく食材やお酒などを多く置いている場合は多少あるかもしれません。

そして、食材等の仕入れを掛け取引している場合は、仕入債務は発生します。

よって、場合によっては、運転資金がマイナスになる場合もあります。
つまり、仕入債務の支払い分、資金に余裕ができるということです。
これを「回転差資金」と呼びます。

ちなみに、飲食店の王道の戦略としては、この回転差資金で、どんどん新規出店を行って拡大を図っていくことでスケールメリットを出していきます。


2.小売業
現金取引が多い小売業であれば、飲食業同様に運転資金はあまり必要ない業種です。

ただ、小売業の場合、仕入れから販売までのタイムラグは一般的には飲食業よりは長いので、棚卸資産は大きくなりがちです。

仕入れてから販売までが長い商品が多い場合は、その分の運転資金が必要になるのでご注意ください。

特に高額商材を扱う会社の場合、商品の回転率が低いので棚卸資産が大きくなり、その分運転資金も多額になりがちです。


3.店舗型サービス業(理美容、エステ、マッサージ店等)
理美容、エステ、マッサージ店等の店舗型のサービス業も、基本的に運転資金は必要ない業種です。

やはり売上は現金取引が多いでしょうし、さらにこういった業種の場合、在庫がほとんどありません。(シャンプーとかはあるのでしょうが)

さらに、エステやマッサージ店だと、回数券を販売している場合がありますね。
この回数券の販売が大きいと、将来の売上分も先に入金されることになるので、さらに運転資金は不要になります。

これらの業種も回転差資金が生まれるので、これを使って新規出店をしていくのが王道の拡大戦略です。


4.講師、教室、各種コンサルティング等
同じサービス業でも、講師、教室運営、各種コンサルティング業の場合だとちょっと異なってきます。
これらの業態の場合、支払条件次第で必要運転資金は全く異なります。

支払条件として前払いが多い場合は、運転資金は不要です。資金的にも余裕ができます。

逆に後払いが多い場合、つまり例えば「サービス提供完了後の翌月末払い」とかにすると、その分の売上債権が運転資金になります。

外注でもしていない限り、支払債務はほとんどないでしょうから、売上債権=運転資金になることが多いかと思います。

極端な例かもしれませんが、お仕事によっては「年度末一括払い」という条件があります。
仮にすべての仕事をその条件でやってしまうと、運転資金が年商と同じということになってしまいます。
売上になるからと、何も考えずにホイホイ受けていると、いつまでたっても入金が無くて資金難に陥ってしまうということにもなりかねませんのでご注意ください。


5.卸売業
卸売業の場合は、一般的には相応の運転資金が必要になる場合が多いです。
現金問屋でもない限り、普通は売上も掛取引が中心になるからです。

また、取扱商品が多い場合、在庫も相応に多くなります。

運転資金を小さくするには、なるべく仕入れから販売までのタイムラグを無くすことです。
粗利益率の低い卸売業の場合、仕入債務もそれなりの金額になるはずなので、仕入れた商品を素早く販売することで、棚卸資産を減らせれば、運転資金は抑えられます。

そのためには取扱商品の選別が必要になりますね。


6.製造業
製造業は運転資金が必要となる業種の代表例です。

まず、完成品だけでなく、材料や仕掛品も在庫になりますし、製造に一定の時間を要するため、棚卸資産は大きくなりがちです。

また、製品販売の際も売掛取引が一般的なうえに、支払いサイトも長いことがあります。
運転資金を小さくするためには、なるべく材料や中間部品、製品在庫を持たない、短い期間で製造するといったことで棚卸資産を少なくするための対策が必要になります。
かの有名なトヨタのジャストインタイムなどはまさにその典型ですね。

また、売掛サイトが短くなるような流通ルートを選ぶ、直販を行うなどで、売掛金を少なくする対策もあるでしょう。

なお、ソフトウェア開発業も運転資金の構造的には製造業に近いです。


以上、身近な業種・業態を例に、いくつか運転資金についての特徴を書いてみました。
あなたの業種・業態ではどのくらい運転資金が必要かわかりましたか?


ところで、運転資金というと、会社を維持するために必要な資金というイメージで捉えられている方もいらっしゃいます。

実際、銀行融資申し込みの際にも「3か月分の運転資金をお願いします」といって、人件費や家賃などの固定費も含めた金額で申し込み、その金額で融資を受けたことがある方もいらっしゃるでしょう。


次回は、運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法について書いてみたいと思います。

これを知っていると、銀行融資申し込みの際に、申し込み金額が必要な理由をスマートに説明できるようになります。
2019.01.24 10:16 | 固定リンク | 経営ミニコラム
法人成りってなに?(3/3)
2018.12.26


皆さん、こんにちは。宮城県よろず支援拠点の小野寺です。

今回で最後になりますが、引き続き法人成りについてご紹介していきたいと思います。

3回目となる今回は「法人成りの手続き」についてご紹介させていただきます。


会社を設立するための手続きについて説明していきます。
まず、以下の会社設立までのフローチャートをご覧ください。下記に項目ごとの説明を記載してます。



1)会社の基本事項の決定
まず会社の基本事項を決めることから始まります。基本事項とは概ね以下の事項です。

・商号(会社名)
法人の名称です。使用できる文字記号に決まりはありますが、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字等は使用できます。商標登録されている名称などには注意が必要です。

・事業目的
定款や登記簿謄本に記載される事業内容です。その法人がどのような事業を営んでいるのかが記載されています。追加や変更があった場合は定款や登記簿謄本の変更が必要になりますので、将来行う可能性のある事業目的も盛り込んでおくと、後々、手間がかかりません。しかし、あまりに多岐にわたる事業目的を盛り込むと客観的に見て何を行っている会社なのか、分かりづらくなるというデメリットがあります。
また、許認可が必要となる業種の場合(建設業や介護事業など)、許認可を取得する場合に必ず盛り込まなければならない目的もありますので注意が必要です。

・本店所在地
法人の住所です。「〇丁目〇番〇号」まで登記されるため、法人の住所が第三者でも調べることが可能になります。それゆえ法人の信用力につながります。

・事業年度
決算日を決めます。個人事業の場合ですと1月1日から12月31日と決められていますが、法人の場合は自由に設定することが可能です。消費税の免税期間を長く確保するため、会社設立日の前月の末日を決算日とするのが一般的です。

・役員関連
取締役は1名から設立することが可能です。1名の場合は自動的にその取締役が代表取締役となります。取締役会設置会社とする場合は3名以上の取締役が必要になります。

・資本金
株式会社・合同会社は資本金1円以上であれば設立することが可能です。資本金は会社設立当初の運転資金になります。設立する手続きでも登録免許税などの費用が発生しますし、経費は売上が入金されるまでの間は自己資金で賄わなければなりません。よって、少なくとも法人設立後2~3か月程度の必要資金は資本金として準備しておくことが望ましいでしょう。



2)定款の作成
定款とは会社の規則です。記載する内容は大きく分けて「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」があります。
絶対的記載事項は事業の目的、商号、本社所在地、資本金額、発起人の氏名と住所、があり、必ず記載する必要があります。

相対的記載事項は、定款に記載した場合にのみ効力が認められる事項のことです。絶対的記載事項とは異なり、必ず記載しなければならない内容ではありませんが、会社の方針を決めるにあたって欠かせないものといえるでしょう。

例として、株式会社の「株券を発行する旨の定め」があげられます。会社法では株券の発行・不発行を選べるようになりました。つまり、株式会社であっても定款に「株券を発行します」と明記しない限り、株券を発行する義務がなくなりました。

上記の他にも、相対的記載事項には様々なものがあります。会社法を参考に、自分の会社に合った事項を定款に加えましょう。



3)定款の認証
株式会社の場合は定款を、公証役場で認証を受ける必要があります。



4)法務局へ登記申請
本店所在地を管轄する法務局に登記申請を行います。

なお、登記申請時に登録免許税の納付が必要になります。株式会社の場合は資本金の0.7%で15万円に満たない場合15万円、合同会社の場合は資本金の0.7%で6万円に満たない場合は6万円となります



5)各機関へ届出
各機関への届出として代表的なものをご紹介します。業種によっては別途、届出が必要になる場合がありますので注意が必要です。

●税務署
・法人設立届
・青色申告の承認申請書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・給与支払事務所等の開設届出書

●都道府県と市区町村
・法人設立届

●年金事務所
・健康保険・厚生年金保険新規適用届



・まとめ
以上が法人を設立するまでの流れになります。決めなければならない事項や、作成する書類も多いので、すぐに設立できるというわけではありません。法人設立の際にお力添えがいただける司法書士へお願いしたとしても1~2ヵ月程度の期間は要しますので、実際に法人を設立する際はゆとりを持ったスケジュールで設立することをお勧めします。

全3回に渡り「法人成りってなに?」というテーマで個人事業からの法人設立についてご紹介させていただきました。皆様のご参考になれば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。
2018.12.26 16:31 | 固定リンク | 経営ミニコラム
法人成りってなに?(2/3)
2018.12.17

皆さん、こんにちは。宮城県よろず支援拠点の小野寺です。
前回に引き続き法人成りについてご紹介します。

1回目では法人成りのメリット・デメリットについてご紹介させていただきました。2回目となる今回は「法人成りのタイミング」についてご紹介していきます。

法人成りすると信用が高まる、税金面でもメリットがあるといわれています。
そこで、どのようなタイミングで法人成りしたらいいのか?
今の事業規模でメリットがあるのか?について考えてみたいと思います。

取引先からの法人成りの要求や、事業承継のための法人成りなど定性的な要因で法人成りを検討されている方もいらっしゃるかもしれませんが、ここでは売上高や利益額の定量的な要因で見たときの法人成りのタイミングについてご紹介します。


■売上高と法人成りのタイミング
法人成りのタイミングについて売上高から考えてみます。

消費税課税売上高が1,000万円を超えると、翌々事業年度から消費税が課税される事業者となります。これは個人事業主も法人も同じです。

法人成りすることで、事業主体が個人から法人へと別人格になることから、仮に2年前に消費税課税売上高が1,000万円超えていたとしても、法人成りすることで消費税の免税事業者となることができます。ただし、初年度の開始半年間の課税売上高が1,000万円以下である等の諸条件もありますので注意が必要です。


■利益額と法人成りのタイミング
法人成りのタイミングについて利益額から考えてみます。

1回目のメリットでもご説明したように、個人事業であれ、法人であれ利益(所得)には税金が課税されます。しかし、個人事業には所得税、法人には法人税が課税されるので税率などが異なります。
個人事業主が課税される所得税の税率は約5%~45%です。所得税は所得金額が増えると税率が高くなる超過累進課税が適用されます。

法人が課税される法人税の税率は中小企業の場合、利益が800万円まで15%、800万円超える利益は約23%の比例税率です。利益が大きくなっても税率は変わりません。そのため、税負担を考慮したとき、個人事業に対する税率と比較して、法人に対する税率にメリットがあるタイミングに法人成りを検討するのがよいでしょう。

以下、現在の法人税と所得税の税率をまとめたものです。






■まとめ
今回は売上高と利益額で見た時の法人成りのタイミングについてご紹介させていただきました。前回のまとめでもお話ししたように、1、2年だけでなく長期的な視点が必要ですので、実際に法人成りをご検討の方は税理士などの専門家の力を借りるのもひとつだとおもいます。もちろん宮城県よろず支援拠点でもご対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。

ご覧いただきありがとうございました。
2018.12.17 20:41 | 固定リンク | 経営ミニコラム
法人成りってなに?(1/3)
2018.12.13


皆さん、こんにちは。宮城県よろず支援拠点の小野寺です。

今年も早いもので、一年のしめくくりの時期になりました。今回から3回に渡って、経営ミニコラムを担当させていただきます。

今回のテーマは、「法人成りってなに?」と題して、個人事業者が法人を設立して事業を営む場合についてご紹介していきます。


はじめに法人成りとはなんでしょうか。起業するとき多くは、法人を設立する場合と、個人事業でスタートする場合に分かれます。このうち個人事業でスタートした場合に、創業後に個人事業から法人を設立することを「法人成り」と呼びます。

個人事業でスタートして事業が軌道に乗ってくると、一度は法人成りを考えるのではないでしょうか。

今回も含めて全3回で以下の内容で法人成りについてご紹介していきます。
第1回目・・・法人成りのメリット、デメリット
第2回目・・・法人成りのタイミング
第3回目・・・法人成りの手続き


第1回目の今回は「法人成りメリット・デメリット」についてご紹介します。メリット・デメリットは個人で感じ方が異なるので一概に言えません。しかし、発生するコストが低くなったり、逆に高くなったりするような数値で表せるメリット・デメリットもあります。

では、実際に法人成りした場合にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。メリット・デメリットは業種や事業環境によっても若干変わると思いますが、ここでは主なものをあげさせて頂きます。


■メリット

・代表者に対する給与を費用にできる
法人では、代表者に支給する給与を経費として計上することができます。もちろん代表者には、所得税・住民税が課税されます。しかし、給与には給与所得控除という控除が認められているので節税へとつながります。

【個人事業の場合】
事業による所得額 6,000,000円
所得税 6,000,000円×所得税率(20%-427,500円)=772,500円

【法人の場合】
●所得税
役員報酬による所得額 6,000,000円
所得税 (6,000,000円-給与所得控除額(1,740,000円))×所得税率(20%-427,500円)=424,500円

●法人税
法人の利益(役員報酬支給後) 0円
法人税(均等割りのみ) 72,000円
(宮城県内で資本金が1,000万円以下の場合)

法人の場合は所得税と法人税を合わせて424,500円+72,000円=496,500円

このモデルケースの場合だと、法人成りした方が所得税と法人税が772,500円-496,500円=276,000円少なくなります。

・税率が一定である
個人事業の場合、所得に対して所得税が課税されます。所得税は所得が高くなるにつれて税率も高くなる累進課税となります。 これに対して法人成りをすると、法人の利益に対して法人税が課税されます。法人税は原則として一定です。さらに中小法人の場合には軽減税率の対象になります。

・信用が増す
個人事業と法人では、対外的な信用が異なります。法人は所在地や役員などを登記するため、第三者でも会社の情報を法務局などで確認することができます。そのため、個人事業と比べると信用力が増します。


■デメリット

・赤字でも税金の納付が必要になる
個人事業の場合、赤字となったら所得税は課税されません。しかし、法人の場合、赤字であったとしても法人住民税が課税されます。この金額は所在地のある自治体や、資本金などによっても異なりますが、宮城県の場合、現在のところ最低でも72,000円は納税する必要があります。基本的には売上高がなくても法人が存続している間は発生します。

・お金を自由に使えない
個人事業の場合、事業用に開設した口座のお金であっても、事業主の生活費などの事業以外の支払いに使うことも可能です。さらに返済義務もありません。事業用であったとしても元をたどれば事業主、個人の所有のお金なので自由に使うことができます。(もちろん、私的な支出の場合、確定申告時に必要経費にできせんが。)
これに対して法人成りをすると、社長であっても、法人のお金を私的なものに使うことはできません。もし使ってしまった場合には、社長に対する給与又は貸付金として扱われ、所得税が課されたり、返済義務を負うことになります。

・手間が増える
個人・法人ともに税務署への確定申告は必要です。しかし、法人の方が、手間が多く複雑です。税務申告以外にも役員の任期満了に伴う登記が必要であったり、帳簿書類の保管が最長で10年間必要であったりなど手間が増えます。

■まとめ
簡単に法人成りのメリット・デメリットをあげさせていただきました。結局、個人事業のまま継続したほうがいいの?法人成りした方がいいの?と、より迷ってしまう方もいらっしゃると思います。法人を設立するのにも費用は発生しますし、一度、設立した法人を解散されるのにも手間はかかります。なので、法人成りを検討する場合には、直近のことだけで判断せず、長期的な視点でメリット・デメリットを考えるようにするのが重要です。また、置かれている状況は100人いれば100通りあります。法人成りすべきがどうか迷っていらっしゃる方は、ぜひ宮城県よろず支援拠点にお越しください。御社のお話をお聞かせください。

では、次回は「法人成りってなに?~法人成りのタイミング」をご紹介します。
ご覧いただきありがとうございました。

2018.12.13 11:12 | 固定リンク | 経営ミニコラム
フリーキャッシュフローとは
2018.11.13


皆さんこんにちは!宮城県よろず支援拠点コーディネーターの鯨井文太郎です。前々回、前回と続いた私のコラムも今回で最終回(3回目)となります。


 今回のコラムでは「フリーキャッシュフロー」について、その概要を説明していきたいと思います。

前回のコラムでは「会社経営の上で重要だと考える指標」というアンケートを紹介しました。その中でROE、営業利益に次いで3番目に回答数が多かったのが、フリーキャッシュフローです。フリーキャッシュフローは重要な指標であると考えるビジネスマンが多いということです。

フリーキャッシュフローとは何でしょうか?各種書籍やインターネットを見ると、
「企業が事業活動により獲得した資金のうち、自由に使える資金」
といった内容で説明されています。

 「自由に使える資金」といっても、実際は借入金の返済や配当の支払に充当することが出来るという意味での「自由に使える資金」ということです。
 従って、フリーキャッシュフローが借入金の返済額に対して不十分な場合、不足分を新規借入で補填する必要があります。この状況が続くようだと、借入金が膨大になり資金繰りが行き詰まるなどの弊害が生じることになります。

 従って、フリーキャッシュフローの確保というのは、企業の維持・存続の為に重要な項目となります。

 さて、自社のフリーキャッシュフローはどのように調べることが出来るでしょうか。2期分の決算書があれば、中小企業庁のホームページから、比較的簡単に算定する方法があります。

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/kaikei_tool.html

上記リンク先から、「中小企業会計」ツール集がダウンロード出来るページにたどり着きます。



上記ページよりエクセルをダウンロード、エクセル内に2期分の決算書を入力することで、キャッシュフロー計算書の作成と、フリーキャッシュフローの確認を行うことができます。

 過去数期分について、自社のキャッシュフロー計算書を作成し、フリーキャッシュフローを確認することが出来れば、自社の資金の状況が良いのか悪いのか、把握することができます。




 
前々回、上記図を用いて、おカネには、ヒト、モノ、情報といった経営資源を支え、充実させる役割があるのだとお伝え致しましたが、その為には自社の資金の状況がどうなのか、数値で把握する必要があります。
自社の資金の状況を把握するためには、先ず、フリーキャッシュフローを確認してみることをお勧めします。

第1回:「おカネとは ~経営資源の観点から考えてみる」
第2回:「財務分析とは ~苦手意識がある人ほど見て欲しい~」
第3回:「フリーキャッシュフローとは」
と3回に渡り、おカネや財務に関する内容を紹介させて頂きました。

 少しでも、皆さまの参考になれば幸いです。ご覧いただきまして有難うございました。

<筆者紹介>
鯨井文太郎。宮城県よろず支援拠点コーディネーター、中小企業診断士、金融検定協会認定ターンアラウンドマネージャー、金融検定協会認定事業承継マネージャー。
2018.11.13 16:16 | 固定リンク | 経営ミニコラム

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