運転資金について知っておきたいこと(3/3)
2019.02.05


おはようございます。

宮城県よろず支援拠点コーディネーターの細野です。

「運転資金について知っておきたいこと」と題して、運転資金について最低限知っておきたいことを3回に分けてご紹介しております。

第1回目は、運転資金の基本と業種別運転資金。
第2回目は、事業に必要となる資金の計算方法。
第3回目(今回)は、事業拡大と増加運転資金。
・・・といった流れとなります。

前回は運転資金の構造を基礎に、固定費も含めた事業に必要となる資金の計算方法をご紹介しました。

最終回となる今回は売上急成長で絶好調の時にこそ注意が必要な増加運転資金と、融資を受けながら事業拡大を行っていくことについて書いていきます。

特に、今後、事業を拡大していきたいとお考えの方は、今回の増加運転資金についてはしっかりと理解しておいていただきたいと思います。

事業が拡大するということは、売上がどんどん増えているということですね。
ビジネスが順調ということであり、右肩上がりの売上の数字を見ていると、つい気が大きくなってしまいがちです。


しかし、通常、売上が増えると運転資金も増加します。
売上アップにより増える運転資金を増加運転資金と呼ぶのですが、この増加運転資金のことを考えずにむやみに売上アップに走ると資金繰りがショートします。

例えば、以前にも例に出した以下のような卸売業の会社があるとします。

月商:100万円
売上原価:70万円
商品在庫:50万円(在庫期間0.5か月)
売掛金:100万円(回収期間1か月)
買掛金:70万円(支払期間1か月)

この会社の運転資金は以下の通りです。
100万円(売上債権)+ 50万円(棚卸資産)- 70万円(買掛金) = 80万円

この会社が仮に売上が急に倍になったとしたら、運転資金は以下のようになります。
(売上金額以外の条件は一定とします)

200万円(売上債権)+ 100万円(棚卸資産)- 140万円(買掛金) = 160万円


この会社の場合、売上が倍になることで得られる粗利益は30万円アップの60万円です。
しかし、運転資金は80万円アップの160万円になります。
これは何を意味するかというと、利益のアップ分だけでは、運転資金を賄いきれないということです。
現預金に余力があればよいのですが、ギリギリで回しているとあっという間に資金ショートです。
売上が倍になったのにお金が足りないのです。
ですので、運転資金が必要な業種の方は特に、売上の急拡大にはご注意ください。

そうはいっても、せっかくビジネスが好調なのにブレーキをかけるのかと思った方もいらっしゃるでしょう。
実際問題、増加運転資金を利益だけで賄おうとすると、会社はなかなか成長できません。

そこで必要になってくるのが金融機関からの融資です。

人によっては、借金への極度な恐れから、なるべく無借金で経営しようとするのですが、ご自身のビジネスにおいて運転資金が必要な構造になっているのであれば、早いうちから金融機関とのお付き合いをしておくことをお勧めします。

通常、増加運転資金というのは、売上増加に伴う前向きな資金需要なので、金融機関からの融資は受けやすい部類に入ります。

会社が成長して、売上がどんどん伸びていけば、それに伴って、必要運転資金を賄うための融資額も増えていきますが、そこはあまり気にする必要はありません。
業種にもよりますが、だいたい月商の3か月分程度までであれば、適正額の範囲内です。


ただ、注意が必要なこととしては、いったん運転資金を融資に頼るようになった以上、金融機関とは良好な関係を継続しておく必要があるということです。

万が一、融資が回収される方向になってしまったら、あっという間に資金ショートです。


良好な関係を継続するといっても、別に何か贈り物をしろとかではなく、節目ごと(例えば決算書ができた後など)に業況について報告をする、何か資料の提出を求められたら遅滞なく対応するなどといった当たり前なことです。

仮に何かしらの理由で赤字を出してしまったとしても、きちんとした説明があれば、いきなり態度が冷たくなるということはほとんどないでしょう。

ただ、全く取引がないにも関わらず、決算の数字が悪い(二期連続赤字や債務超過)の状態で融資申し込みを行っても、融資は受けにくい可能性が高いです。

ですので、状態がいいうちに取引を開始し、取引実績を積み重ねて相手からの信頼を得ていくことが望ましいでしょう。
(ちなみに一番お金を借りやすいのは創業融資という説もあります)


健全な会社の成長のために、金融機関とは上手に付き合っていきましょう。


以上、3回に渡って”運転資金について知っておきたいこと”をご紹介してきました。
運転資金は会社経営する上では欠かせないものです。
数値計算が必要になるのでなんとなく苦手意識を持っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、概念としてはさほど難しいことではないことがご理解いただけたのではないでしょうか。

今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。

2019.02.05 18:36 | 固定リンク | 経営ミニコラム

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