人手不足時代の経営戦略(2/3)
2018.09.25


宮城県よろず支援拠点コーディネーターの佐藤創です。

人手不足時代の経営戦略と題した連続コラムの2回目です。

前回は、現在の人手不足は人口構造に基づく変化であり、今後大きく改善することはないと述べました。

今回は外部環境がどのように変化したのかを紐解いていきます。具体的には、人口構造の変化や求職者の就労意識の変化についてみていきましょう。

これによってもはや今まで常識だった求人像や人事戦略が成り立たなくなってきつつあることを感じて頂ければと思います。



1.人手不足時代においても企業が求める人材像は昔から何も変わっていない

人手不足時代において、企業が求める人材像には変化があったのでしょうか?
興味深い統計情報があるので見てみましょう。アンケートで「人手不足だ」と回答した企業が求める人材についてです。



企業は、社会経験のある即戦力人材を求めていることがわかります。

これは以前から同じ傾向があり、人手不足時代においても以前とおなじ求人像を描いていることがわかります。


次に、人員が確保できない理由のアンケート結果も見てみましょう。



なんと、「自分の地域に求める人材がいない」と回答している割合がずば抜けて多いです。

これは本当なのでしょうか?

本当に地域に人材がいないのか、はたまた「企業が求める人材像が誤っている」または「企業が求める人材像と、地域人材のミスマッチが起きている」のでしょうか?




2.生産年齢人口の減少は止まらない

企業は今までと同じような求人像を描いており、かつ地域に人材がいないと嘆いています。
では、働く生産年齢人口の変化はどうなっていくのでしょうか。今後の生産年齢人口の推移を描いたグラフを見てみましょう。




生産年齢人口は減少の一途をたどります。このように、人材がどんどん少なくなっていく将来において、企業は今までと同じような求人像を描いていて大丈夫なのでしょうか。

もう1つ有名なグラフを紹介します。ワークライフバランス社の小室氏が書籍等で提唱する、人口オーナス時代への突入についてです。




現在は、生産年齢人口1人あたり、0.7人の非生産年齢人口を支えている格好になっています。しかし2050年ころには、支える非生産年齢人口が0.9人にまで増加することを示すグラフです。

このように生産年齢人口の減少は歯止めがかからない状況になると推測されています。

そんな時代に「自分の地域には人材がいない」などと悠長なことを言っていては事業そのものが成り立たないのです。




3.シニア・女性の活用を見据えた、求人像を見つめなおす

ではどうすればよいのでしょうか?
解決の糸口の1つは、シニア・女性・海外人材の活用です。

生産年齢人口の定義は、15~64歳の人口です。しかし、今の世の中65歳以上のシニアも元気で、バリバリ働ける方も多いのです。

ちょっと見方を変えて、生産年齢人口に65~75歳くらいのシニア層も含めてしまい、シニアにも働いてもらえれば、人手不足の状況も少しは改善するのです。


では、シニアの活用や働く意欲はどう変化しているのでしょうか。

まずは60歳以上のシニア層の雇用状況推移を見てみましょう。



年々活用が進んでおり、就労者が多いことがわかります。

次に、シニアの働く意欲についてみていきましょう。シニア層に何歳まで働きたいか聞いたアンケート結果です。




なんと、「働けるうちはいつまでも」と回答した割合が最も多いのです。

シニア層は働く意欲も高く、かつ年々活用も進んでいます。
しかしまだまだ活用は十分とは言えません。


それはなぜか?

シニア層が就職できなかった理由について分析しましょう。




勤務時間が希望と合わないことや、求人の年齢と合わないことが最も多い理由になっています。

つまり、求人側の条件と求職者の条件がアンマッチしているのです。


企業側がシニア活用を本気で考え、シニアでも働きやすい労働環境さえ構築できれば、人材の確保は可能なのです。

つまり企業側の「求人像の見直し」が求められているといえるでしょう。



同じように、女性活用の状況についても見ていきましょう。

まずはM字カーブの変遷についてです。



近年はM字のカーブが緩やかになり、出産・育児を経ても就労を継続する女性が多い傾向を示しています。

それもそのはず。次に専業主婦世帯と、共働き世帯の推移を見てみましょう。




もはや世の中は専業主婦前提ではないのです。
結婚した女性も就労することが前提の社会になっているのです。


女性が就職できなかった理由も見てみます。




シニアのケースと同じく、勤務時間が希望と合わないことや、求人の年齢と合わないことが最も多い理由になっています。

これも企業側の女性活用が考えられておらず、女性が働きやすい労働環境整備ができていないことが原因です。

今後の人材確保・活用には、やはり企業側の「求人像の見直し」が必要になるといえます。




4.今後の人材活用の方針は?

以上までに、生産年齢人口の減少と、シニア・女性活用の状況を見てきました。

今まで通りに、即戦力になってフルタイムでバリバリ働ける人材を容易に採用することは困難になってきています。そのかわり、シニア活用・女性活用ができるようになれば、人材を確保できるチャンスも見えてきました。


それでは、どのような検討を行うことでこれら人材活用が可能になるのでしょうか。

次回は人材確保のチャンスを生かすための、企業側の働き方改革の方針について見ていくことにしましょう。


<筆者>
宮城県よろず支援拠点コーディネーター 中小企業診断士 佐藤 創。
人手不足対応広域アドバイザ。

第1回記事:http://www.yorozu.miyagi-fsci.or.jp/cafe/html/art/00054.html
第2回記事:本記事
第3回記事:10/04予定
2018.09.25 17:48 | 固定リンク | 経営ミニコラム

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